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第一人格 悪童【Saucebox】
東京都のとある高校の現国の授業中。
一番後ろの席で鋭い目つきとホストのように長く赤い髪を持つ高校一年生の劉紅常火はとても退屈していた。
(はぁ…つまらねぇな)
ノートは俺の隣の席に座る字が綺麗で少し茶髪のショートカットの素朴女子星国結衣がとってくれている。教科書ももう暗記済み。
つまり俺には今やる事がない。
こんなレジャーな時は趣味を没頭するか。
趣味 人間遊びでもしますかな?
人間遊びとは人間観察の上位互換だ。人間に直接的な刺激を与え反応を楽しむのが人間遊びだ
「石田先生~!」
俺がニコニコと満面の笑みと愛嬌のある可愛い声を挙げて手を挙げるとクラス全員がこっちを向く。手を挙げて先生と呼んだものに注目するのは普通のことだろう。しかし全員がゴクンと喉を鳴らすほど緊張を張り巡らせるようにしていたのは異常な事だ。教室の黒板の前に立った眼鏡をかけた痩せ型の教師、現国の担当の石田も顔を引きつりながら返事をする。
「どっどうした?劉紅君」
「なんか字が汚くて読めないでーす」
「…あぁごめんな?もっと丁寧に書くよ」
「ありがとうございます石田先生!あっあとガム噛んでいいですか?」
「…ガッガム!?わかった噛んでいいぞ」
「ありがとうございます!」
授業中にガムを噛むことなんて普通は許されない事だろう。しかし俺は許される。なぜなら俺は現国の担当の石田のある秘密を握っているからだ。基本的に人間遊びは弱みを握るところから始まる。相手の弱みを握り、それをちらつかせるそぶりを見せることで相手を威圧する。そして相手の反応を楽しむのが俺の暇つぶしだ。
キーンコーンカーンコーン
授業の終わりのチャイムが鳴る。
今の授業は六限目。今日の授業終了だ。
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