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俺は一つ一つ靄を確認しながら先に進んでみた。
辿っていくうちに靄の大きさがだんだん大きくなっているような気がした。
いくつの靄を確認しただろうか。
靄に有った影が少しづつはっきりとしてきた。
どうやら何処かの景色のようだ。
それは、両側に住宅が立ち並ぶ道路のようだった。
これは……
なんだか見覚えがある気がするが、思い出せない。
次の靄には学校のような大きな建物だった。
これにも見覚えがある気がする。
しかしはっきりとは思い出せない。
いくつの同じように見覚えがあるが思い出せない光景が写し出された靄が続くと、遂に靄が途切れた。
これが最後なのか……
最後の靄には、病室らしき部屋のベッドで寝ている青年が写し出されていた。
これはいったい誰なんだ……
思い出せそうで思い出せない。
改めて靄に写し出された光景に目を凝らしたその時、その靄が急にピカッと強い光を放ち始めた。
うわ、眩しい……!
その強い光は、手で目元をガードしながら目を細める俺を飲み込んでいった。
遂にこの真っ白な世界の夢は終わりを告げたようだ。
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