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その日帰宅した直人を待っていたのは、件のギフト券の送り主の手紙だった。
苗字だけの宛名を見た直人は、まさかと思いつつ裏を返し「辻村」の名前にやっぱりと溜め息をつく。
部屋へ戻り着替えを済ませると、いつものようにこたつに足を入れ、手紙の封を破る。
『辻様へ』と書き始められる手紙の字は、相変わらず几帳面そうで綺麗なものだった。
直人は予定通り実家に帰る日の午前中にレターセットを買い、受け取れない旨を簡単に書き記し、下の名前は書き入れずにギフト券をその日のうちに送り返していた。
見ず知らずの自分が金券などを送ったことを猛烈に反省しているということ。だが、お詫びがしたいということ。どうすれば謝罪を受け取ってくれるか、などといった内容の事が書かれている。 ここまでくると何かを受け取らないとこのやり取りが終わらないような気がしてきて、直人は戸惑った。
「別に、何にもいらないけどなあ」
バイトも順調で、贅沢さえしなければ生活していける。特に欲しいものも特にこれといってない。
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