プロローグ

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 明日は遅番で朝はゆっくりできることもあり、ついついぼーっとテレビをいつまでも見てしまう。 風呂、明日でいっかと怠けたことを考えてしまうが、化粧を落としたりと忙しい女性でもなければ、これくらいはみんなやってることだ。 それでも入らなきゃなと考えてしまうのは、実家では必ず夜に入るのが決まりだったから。いまだにその習慣が顔を出すのだ。  そろそろ番組も中盤を越え、司会者がカウントダウンまであと三十分を切りました、と叫んでいる。 もうそんな時間かと思っていると、ドアの外で足音がした。 通り過ぎるだろうと思っていたのに、それは何故か直人の部屋の前で止まる。  直人の部屋を知っている人間は少ない。親と数人の友人くらいだ。それもこんな時間に何の連絡もなしに訪れるとも思えず、直人は怪訝な顔をした。  時をおかずして呼び鈴が鳴らされる。 それと同時に、 「お待たせしました。ピザフットです」 という声が聞こえ、「え?」と声を出す。 まったく身に覚えがなく、こたつの中で微動だにせずにいると、もう一度呼び鈴が鳴った。 「っもう。……面倒だなー」  おそらくどこかの家と間違えてるのだろう。 放っておけばそのうちいなくなるだろうとは思ったが、先ほどの外の寒さを知ってる身としては、待ちぼうけをさせるのは忍びないという気持ちが勝ってしまい、直人はこたつから出る。 「すみませーん」  玄関先へいくと、目の前のドアを挟んだ向こう側から再び声をかけられる。  直人はガチャと鍵を開け、ドアを押した。 「あ、お待たせしました。辻村様ですね」     
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