1364人が本棚に入れています
本棚に追加
コンビニで夕飯を買ってると二人に知られるのは、なんとのく決まりが悪かったが、嘘をつくほどのことでもなく正直に答える。
「ではせっかくなので、うちにいらっしゃいませんか? 夕飯の支度はもうできてるんです」
「え? でも、そんな……」
直嗣の誘いに直人は困惑した。
手紙のやり取りをしていたとはいえ、赤の他人である。 家族団らんの場所にお邪魔するのはどうなんだと、しごく真っ当なことを直人は考えた。 だが、
「遠慮なさらないでください。ご存じのように二人だけしかおりませんし、辻さんは何も受け取って下さらないようなので、せめて夕飯だけでもーー」
「おにいちゃん、ごはんいっしょ、しよ?」
二人にそうまで言われると、断る方がなんだか悪い気がしてくる。
「でも……本当にお邪魔していいんでしょうか?」
社交辞令ではないかと、まだも気にして再度問うた直人に、直嗣が微笑みを浮かべた。整った顔というのは冷淡にも見えてしまうが、直嗣は魅惑的でさえあった。
「ぜひどうぞ。来ていただけると嬉しいです」
「うれしい、れす」
直樹も得意気に笑っているのを見て、直人も思わず微笑む。
「じゃあ、お呼ばれされますね。よろしくお願いします」
頭を下げると、直嗣が苦笑する。
「そんな大したものでもないので、あまり期待されても困りますが」
最初のコメントを投稿しよう!