3

15/21

1361人が本棚に入れています
本棚に追加
/356ページ
「なおとおにいちゃん……いつ?」  涙を溜めた目で見つめられ、直人はうっとなってしまう。そして、眉をしかめほとほと困っている直嗣の顔と見比べ、ふ、と息をついた。 「じゃあ、直樹くんのパパがいいっていうなら、明後日にまた来るよ」 「あさって?! あしたのあしただね! パパ、いいよね?」  直嗣を見ると、戸惑っているように見える。 「やっぱりご迷惑でしたか?」 「いえ……そうではなく、無理されなくていいんですよ? 直樹もちゃんと話せばわかってくれるし……」 「無理なんて……。直樹くんといると楽しいですし、辻村さんも親切ですし、僕はぜんぜんかまいません」  それは本心だった。  同性同士というのもあるだろうが、三人でいるのはちっとも苦ではない。人見知りする質だと自分では思っていたが、小さな子どもを間に挟んだお陰でそれも発動しなかったようだ。 「そうですか?」 「パパ、いいよね?」  父親の顔色をうかがう直樹は必死だ。 「辻村さんさえよければ、ですけど」  直人がもう一言添えると、直嗣は長いため息をついたあと、首を少し傾げ苦笑した。 「……わかりました。じゃあお願いしても?」 「もちろんです」     
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1361人が本棚に入れています
本棚に追加