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「なおとおにいちゃん……いつ?」
涙を溜めた目で見つめられ、直人はうっとなってしまう。そして、眉をしかめほとほと困っている直嗣の顔と見比べ、ふ、と息をついた。
「じゃあ、直樹くんのパパがいいっていうなら、明後日にまた来るよ」
「あさって?! あしたのあしただね! パパ、いいよね?」
直嗣を見ると、戸惑っているように見える。
「やっぱりご迷惑でしたか?」
「いえ……そうではなく、無理されなくていいんですよ? 直樹もちゃんと話せばわかってくれるし……」
「無理なんて……。直樹くんといると楽しいですし、辻村さんも親切ですし、僕はぜんぜんかまいません」
それは本心だった。
同性同士というのもあるだろうが、三人でいるのはちっとも苦ではない。人見知りする質だと自分では思っていたが、小さな子どもを間に挟んだお陰でそれも発動しなかったようだ。
「そうですか?」
「パパ、いいよね?」
父親の顔色をうかがう直樹は必死だ。
「辻村さんさえよければ、ですけど」
直人がもう一言添えると、直嗣は長いため息をついたあと、首を少し傾げ苦笑した。
「……わかりました。じゃあお願いしても?」
「もちろんです」
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