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また、他の交番に勤務しているある巡査などは、元々東京で一度警察官になったものの、故郷に骨を埋めたくなり、それで一旦警察を止めて帰郷し、再度試験を受け直してこのS市の警察官になったと言っていた。
「俺は同じ職業に2度就いた男ということになるな」と笑っていた。
俺が警官になった頃、S市は30歳以下なら募集に応募できた。
大体全国的に、29歳以下が限度になっていることが多いが、他の地域では31歳以下なら応募可能なところもあった。
実は、前の会社も転職組の社員が多かったので、年齢的な違和感を感じないで済んだ。
あの会社は、売り上げ低迷企業といっても、社員は自分も含めて、業務を全員真面目かつ厳しく遂行していただけだ。
社長も上司も社員に気を遣ってくれたし、社内の人間関係も悪くなかった。
ブラック企業と世間から名指されている分、誤解されることも多かったが、ハードな条件の中、ひたすら泥臭く、真面目に営業努力を繰り返し、問題点を日々改善しようとしていただけだった。
商品にクレームがつき、悪評判が一度たってしまうと、消費者側から悪く思われるのは当然だろう。
しかし、消費者センターへの懐柔策には大いに疑問を感じたが、社長も上司もそう悪い人ではなかったし、社員同士の仲も意外なほど良かった。
警察官になってから、未だに気を遣ってくれるような上司に出会っていないのは、単に運が悪いからか。
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