警官志望

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俺はひたすら、正しい道に進みたかったから警官になったのだが、上司からの気遣いだとか、かっての会社内のような和気藹々とした人的交流は皆無だ。 しかしそれは厳しい世界だと言うだけで、仲間意識はすでにある。 犯罪件数が異常に多い、都心の繁華街の交番の警官たちの、まるで兄弟仁義のような濃い結束こそないが、仲間で仕事を助け合っていこうという気概はうちの交番にもある。 それに濃い結束なら、警察官になって、最初に入った警察学校の初任科で出会った同期たちとの間にそれがある。 ほとんど軍隊に入ったに等しいほど厳しいところだったが、あそこで初めて、人と殴り合った経験が強い結束を生んだのかもしれない。 それと毎日の厳しい共同生活が。
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