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月光
私は月が好きだ。
あの決まった形を持っているのにもかかわらず。恥ずかしがり屋のような。自信家のように堂々としている。暗闇に一人で顔を見せる。そんなかけている月がすきなんだ。
私に月の魅力を教えてくれたのは、路上でダンボールの家に住んでいる彼だ。
彼は私にいろんなことを教えてくれた。彼は最低な人間だったけど。あの人と居れば退屈はしないだろう。
私と彼が出会ったのは私が大学時代の頃だ。その頃の私は高校の頃から付き合っていた彼氏が急に連絡が取れなくなってしまい。途方にくれていた。ネガティブな感情が私の中で渦巻き、大学に行っても上の空で、だらだらとした生活を送っていた。そんな私に突然転機が舞い降りた。ある日の大学の帰り道のことだ。私が商店街が立ち並ぶ通りを歩いていると。私の前を歩いていた年配の女性が財布を落とした。私は落ちた財布を拾おうとすると。前に歩いていた男がその財布を拾って。あたかも自分のもののようにズボンのポケットにいれた。それを見た私はさすがに、見過ごせないので彼の肩をたたいた。
「ポケットのなかのものを出しなさいよ」
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