月光

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私はその夜。家を飛び出してあのホームレスがいる路地裏までかけていった。しばらく運動をしていなかったので息が荒く、足も痛かったが、私はちっとも苦しくなんかなかった。私が彼のいた場所に行くと、そこには薄い段ボールと黒い物体があった。私は何も迷うことなくその黒い物体に話しかけた。 「こんばんは。お隣いいですか? 」 「ああ、いいよ」 暗くて顔はよく見えなかったが彼の声がきこえたので私はいよいよ嬉しさが暴発しようとしていた。 「お前誰だ? 」 彼はそういったが私は何も答えずに私の事を話した。私の考えていることや楽しい事や悲しこと、とにかくいろいろなことを話しすぎて私もあまり覚えていない。一通り話し終えた後二人の間にの沈黙が訪れた。私はその沈黙が心地よくてずっと続けばいいのにと思ってしまった。しかし彼が突然口を開いた。 「お前は燃えるように生きるのか。太陽みたいだな。でもそれは間違ってないか」 「燃えて燃えて燃え尽きるよりも、月のように暗いとき出てきて慰めてくれる方が俺は好きだ。太陽だと眩しすぎる。高尚すぎるよ」 彼はそう言ったきり黙り込んでしまった。私は彼ともっと話していたかったのに・・・・     
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