月光

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「今私たち学生で街の清掃ボランティアをしていて、近隣の住民から汚いあの小屋を撤去してほしとかねてから言われており。今日撤去しに来たのですがなくなっていたので気になって。何か知っている事とか在りませんかね?」 私は自分の中からこんな嘘がどんどん出てくるのが嫌いだ。それでも役にたつので、やめられない。 「それは立派だね若いのに、でもあの小屋なら今朝男が壊してたのを見たよ」 男?彼だろうか。私は彼の特徴まで聞きたかったが。そこまで行くと私が質問される羽目になるので礼を言ってその場を後にした。 それから、ほかの近隣住民にも聞いてみたがどれも有益な情報は得られなかった。完全に八方ふさがりだ。どうしよう。とりあえず今日は家に帰って一度冷静になって私の本心を確かめることにした。家に帰ると母が台所で夕食を作っていた。 「ただいま。お母さん」 「お帰りなさい。ご飯もう少しで出来るから待ってて」     
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