月光

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のだから、私は普通のはずだ。私は普通という単語が目まぐるしく私の思考を邪魔しているのではと感ぜられたので思考を放棄した。矛盾を繰り返す自分がいたら感情で訴えて決めた方がいいのだ。 私の感情を呼び起こすには、いくつか条件がある。まず第一に音がない静寂な空間であること。第二に他人の目が入らない場所であること。そして、最後に私の頭の中で絶えず死を意識することだ。死を意識とは、ただ単に頭の中で死ぬことをイメージするだけではなく。実際に鼻と口を塞いで呼吸をすることをやめる。そして限界が来たら口を開いて呼吸をする。それを繰り返すと頭が冴える感じがする。実際冴えてるかはわからないけど。奥深くに眠る感情がだんだん素直になってきて、浮かびあがるのだ。私はそれを繰り返していると突然今まで忘れていたかのように、寂しさが私の中からあふれ出してきた。コップの中に入った水があふれだして、コップごと壊れてしまったかのような感じだった。私は寂しいのかな。だから、人恋しくなるのか。でも私が本当に会いたいのはあの男ではなく彼氏のほうだった。     
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