第3章 緑色の髪の女

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第3章 緑色の髪の女

 ドラゴンと言われて、その姿を想像できるだろうか。多くの人間が絵本やアニメで見たことがあるだろう。大きくて翼があって鋭い牙と爪を持つ、恐ろしい怪物。でも、現実にはいない。所詮フィクションの世界の生き物。現実の世界に生きる者は絶対に襲われたりしないそれに――私は遭遇した。  冷静になればこれが現実であり、ありえない状況であることは分かるだろうが、あの鋭い眼光に睨まれては頬をつねることさえできなかった。そこを動かず、息を吸って吐いているしかできなかった。  目の前の生き物は鋭い爪を持つ二本の脚を一歩ずつ前に出して、こっちへ近づいてくる。その度に小さく風が起こって、私のスカートをまくり上げる。私は尻餅をついた状態で地面に座っていたから、完全に恥ずかしい恰好をしていたのだが、そんなのを気にしているほど余裕はなかった。とにかく後ずさり、あの生き物から距離を置くことしか頭になかった。いや、そんなの考えるまでもなく体が勝手に動いていた。腰が引けて立てない。お尻をつけたまま動けばスカートか下着が汚れてしまうが、関係ない。とにかく離れなきゃ。     
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