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第4章 気にしないなんてできない
女――セリーヌと名乗ったあの女は、そのまま去って行った。結局、あの化け物が何で、あの女が何者だったかは分からない。ただ、あれが悪夢ではなく現実であったことは確かだった。誰もいなくなった公園の地面に大きな足跡が残っていた。あれは確かにあの化け物――ドラゴンの足跡だ。
私は現実にいる。そしてあのドラゴンが目の前に現れた。あの女も現れた。全てが現実に起こった事実だ。やっぱり悪夢を見ているとしか思えなかった。
さて、そんなこんなで翌日。たとえ現実離れしたことが起きようとも、学校は普通にある。どんな悪夢みたいなことがあっても、学校には行かなければいけない。だから私は通学路を歩く。昨日のことがあるので、公園は通らなかった。少し時間がかかる道だったが、安全の方が大事だ。
ドラゴン。
緑色の髪の女――セリーヌ・クーヴレール。
ドラゴンはさておき、あのセリーヌという女、どうも普通の人間とは思えない。ドラゴンと対峙して怯えない時点で普通の人間ではないのだろうが、それを抜きにしてもただ者じゃない。
一体誰だったのだろう。
そんなことを考えながら通学路を歩き、学校に着いたのは八時過ぎだった。
「おい、委員長」
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