第4章 気にしないなんてできない

2/5
前へ
/73ページ
次へ
 教室に入ろうと扉を開けると、目の前に南雲くんがいた。いつもは遅刻ギリギリの彼が来ているところを見ると、どうやら私を待ち構えていたらしい。 「おはよう、南雲くん。今日は早いね」 「ああ、いや、大掃除の件、気になって」 「あ」  忘れていた。ドラゴンとあの女のことを考えすぎて、すっかり頭から抜けていた。 「やってない」 「しっかりしろよ。締め切り明日なんだろ」 「うん」 「もし大変だったら俺、手伝うけど」 「いや、大丈夫。今日中に終われるから」 「そう」  まあ頑張れ、と南雲くんは席に戻っていった。  私も着席した。とりあえず、あの化け物と女については忘れよう。明日が期限の仕事があるんだから、今はそっちに集中しよう。私は荷物を置いて、先生からもらった役割分担表を広げる。さて、仕事をしよう。  だが、ここで分担表にドラゴンとセリーヌという名前をつらつらと書いてしまったことは詳しく述べないでおく。いや、もう少し述べておくと、やっぱりそう簡単には考えを切り替えられなかったということだ。  ドラゴンってどんなやつだったっけ。翼、どんな感じだったっけ。体は何色だったっけ。そういえば覚えてないな。爪は鋭かったな。どれくらいの長さだっけ。あいつ、どんなことができるんだろう。飛んでいたのは見たけれど、火とか吐くのかな。     
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加