3人が本棚に入れています
本棚に追加
緑色の髪の女、セリーヌ・クーヴレールとか言ったっけ。髪と目の色一緒だったな。どこの国の人なんだろう。赤い紙みたいなの持ってたけど、あれは何だろう。ドラゴン怖がってなかったのすごいなあ。武器、あれは槍だよな。あれをあんなひょいひょい使えるのすごいなあ。いくつなんだろう。二十歳? 二十一? いや未成年かもしれないなあ。同い年だとしたら大人っぽいなあ。綺麗な人だったなあ。ドラゴン追いかけるって言っていたけれど、どうするんだろう。
そんなことがずっと頭から離れなかった。こんなことを考えても私はどうしようもない。ドラゴンもあの女も、たまたま遭遇しただけだ。
が、昼休みの私は図書館にいて『世界の怪物辞典』なるものを読んでいた。開かれているページは『ドラゴン』という項目のところだ。
ドラゴン。
鱗に覆われ、爬虫類に似た胴体、鋭い牙と爪を持っている。口や鼻から火を吐く。典型的なドラゴンには翼があり、空を飛ぶことができる。サーペントのような地を這う怪物もドラゴンと呼ばれる。地下の洞穴を住処としているとされている。体色は緑、黄金、真紅、漆黒などさまざまである。ドラゴンという名前の語源はギリシア語の『ドラコーン』に由来し、この語はギリシア語のδ?ρκομαι(『見る、はっきりと視る、鋭い眼差しを向ける』などの意)の派生語であり、『鋭い眼光で睨む者』という意味とされる。
「鋭い眼光で睨む者?」
しかも、ギリシア語が語源ということは西洋の怪物ということか。
鋭い眼光――ね。
あいつが現れたとき、確かに怖い目で睨まれた。あれはドラゴンの習性みたいなことだったのかな。
最初のコメントを投稿しよう!