第1章 私という人間の価値

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 それが、クラスメイトが私に下す評価だった。真面目でいい子。それは褒めているつもりなのだろうが、私にとっては気に食わない評価だった。真面目ということは頭が固いということだし、いい子ということは先生の言うことをちゃんと聞き、ふざけないということだ。つまり――つまらない人間だということだ。  つまらない人間に興味を持つ人なんていない。だから私には誰も寄ってこない。寄っても離れていく。周りの人間は何とも思っていないだろう。だって彼らは悪いことなんてしていないのだから。誰も悪くない。自然の摂理だ。  だから、高校に入ったら何か面白いことをやろうと思った。自分のアイデンティティになるような何かを、付け加えようと決めた。 それが学級委員長という役職だった。一学期の最初のロングホームルームで私はそれに立候補した。それはとてもやりがいのあるものだった。先生から頼られ、みんなをまとめ、クラスの代表者として先頭に立つ。とはいえど、具体的な仕事はほとんどない。先生に学級委員長としての仕事を頼まれることは月に一度あるかないかくらいだし、みんなをまとめる機会はさらに少ない。授業の始めと終わりの号令は毎日あるが、大変というほどではない。それでも、学級委員長という役職はいいアイデンティティだと思った。     
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