第1章 私という人間の価値

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 高校生活が始まってから九か月、学級委員長としての役割を果たしてきたが、何も変わらなかった。クラスの代表者が必ずしもクラスメイトから注目されるとは限らない。クラスメイトから選ばれるが、クラスメイトが選ぶわけではない。完全に立候補制で、候補者が一人しかいなかったら自然に決まる。だから、学級委員長なんていうのはただの役職名で、目立つものではない。学級委員長になったクラスメイトというだけである。 誰も見てくれない。 そんな私にも名前はある。誰も見てくれないのなら、名前なんてあってないようなものだけれど、一応名前がついている。 桐生(きりゅう)陽菜(ひな)。 『陽』というより『陰』という感じだが。
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