第2章 私の出遭いは突然で

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第2章 私の出遭いは突然で

 私立七星(ななつぼし)高校の終業時間はだいたい三時半だ。クラスによっては違うのだろうが、私のクラスは三時半前後には解散になる。それは今日のような寒い日でも変わらない。 「気を付け、礼」  私の号令で頭を下げると、クラスメイトたちは教室から出ていく。たいていの人は友達を待ったり雑談に花を咲かせたりしているので、すぐ下校はしない。授業中までおしゃべりをしている連中は一体どんなテーマで会話をするのか、いささか疑問だ。  が、それはいつものことなのであまり気にせず、私は帰路へ就く。一緒に帰るような友達はいない。七星高校は私にとっては地元の高校なので、小さい頃、同じ教室で学んでいた仲間もいなくはないのだが、彼らは彼らで友達がいる。結局私は一人なのだ。  下駄箱で上履きと革靴を履き替え、外に出る。外の空気はひんやりと冷たい。やはり十二月となると、制服は薄い。風が吹けば空気が服の布地を通り抜けて肌に当たる。明日からはコートを着てきた方がよさそうだ。 「委員長」     
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