第15章 私たちのその後

3/6
前へ
/73ページ
次へ
「いや、その……ほら、お前のこと好きって言ったから。その答え」 「ああ、そのこと」  そういえば、答えを出していなかった。直接的に交際を求められたわけじゃないけれど、告白イコール交際を求めるというのは常識だろう。私はあの状況で交際を求められていたのだ。まあ、あのときは答えを出せるほど心に余裕がなかったけれど……いや、それよりも私を気にかけてくれる人がいるという事実が嬉しくてそれどころではなかった。  答えを出していなかったとはいえど、考えていなかったわけではない。登校途中に唐突に思い出して、告白されたな、付き合ってほしいってことだよな、どうしよう、と考えていた。高校生活には恋人が必要不可欠かもしれない。噂程度だけれど、クラスにも恋愛的な交際をしている子がいる。そういう人がいた方が、楽しいのかもしれない。  答えは出ていた。 「ありがたいんだけど……ごめん」 「……だよな」  南雲くんは薄く笑った。  私は言う。     
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加