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「私にはまだ早いって思うんだ。南雲くんが友達になってくれて嬉しかった。こうやっておしゃべりしてくれて嬉しかった。実はずっとそういう人がほしくて、いろいろ一緒にやってくれる人がほしかった。それがやっと手に入って……南雲くん、私はやりたいことがいっぱいあるの。それはね、南雲くんと一緒に……友達と一緒にやりたいことなんだ」
「俺と……やりたい?」
「そうだよ。だから、もうちょっと友達でいてよ」
ちょっと図々しいかな。でもこれが本心だった。もう他人じゃないから、本心を言う。でも、傷つけちゃったかな。本心はときに牙になる。ドラゴンのように鋭い牙に。
しかし、南雲くんは笑った。ドラゴンの眼差しではなく、優しく瞳。
「そっか」
「……傷ついた?」
「いいや、納得した。なんかすっきりした。そっか。そんな風に思ってたんだな。知れてよかったよ」
南雲くんは笑っている。
「……泣かないの?」
「は?」
「だって私、振ったんだよ。どうして笑ってるの?」
「どうしてって……言ったじゃん、気持ちが知れたから」
そうじゃない。そういうことじゃない。私は友達として……
「――泣いてもいいんだよ」
頼ってほしい。
「肩でも胸でも貸してあげるから、泣いてもいいんだよ」
こういうときに頼ってもらえるのが、友達なんだから。
南雲くんは私に背中を向けた。肩が少し震えている。
「……女に慰めてもらうなんて」
「そんなこと言わないで」
バッグハグ。
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