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プロローグ
二人はいつまでも幸せに暮らしました。
そんな言葉で終わる童話が、ずっと好きだった。不幸な目に遭ったプリンセスが素敵な王子様に救われ、唇を奪われ、幸せにする。なんと美しい物語だ。プリンセスは災難に見舞われながらも最終的には王子様と出会うことが分かっていて、一方で悪者は悪者として片づけられる。正義は最後まで正義で、悪は最後まで悪。
正義が絶対勝って。
悪が必ず負ける世界。
何もかもが上手くいって。
何もかもが正しく終わる世界。
しかし、それは現実ではないから美しい。もっと分かりやすく言い換えるのであれば、現実にはありえないから美しい。残念ながら、ノンフィクションの世界というのはそう上手くはいかない。プリンセスはいないし、王子様もいない。不幸な目に遭った人間が幸せになるとは限らない。悪者が悪者として終わるとも限らない。正義が悪になることもあれば、悪が正義になることもある。
正義が絶対ではなく。
悪が負けないこともある世界。
何もかもが不条理で。
何もかもが正しくなくても終わる世界。
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