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隆は、明くる日から九月半ばまで三山木場の借家を拠点に、浦上から逃れてきた被爆負傷者の救護活動を教室員とともに行い、十月に「長崎の鐘」の原案にもなった「原子爆弾救護報告書」を長崎医科大学長に提出する。翌昭和二十一年一月に物理的療法科教授に昇進するも、やがて病床に親しむようになり、物を書くことによって二人の子と老義母を抱えた生活を再建しようと決意する。最愛の妻の命を無下に奪った原子爆弾の恐ろしさと平和の尊さを訴えつつ、カトリックおよび医学の見地も交えて「ロザリオの鎖」、「この子を残して」などの随筆集他を残し、浦上が再び緑燃ゆる町へと復興する様子を被爆後六年近くにわたって見守ることになる。(了)
参考文献
『永井隆全集』 講談社
『長崎の鐘はほほえむ』 永井誠一著 女子パウロ
『娘よ、ここが長崎です』 筒井茅乃著 くもん出版
『永井隆の生涯』 片岡弥吉著 サンパウロ
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