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愛媛は高い木の枝先に座り、手に入ったばかりの3つの魂でお手玉をしていた。
「3年待って、3つかぁ……」
悪くはない。同時進行で他からも回収しているし。
本当は、莉子の憎悪を煽って悪霊化させ、この道を通る魂をランダムに回収するトラップにすることもできたのだけれど。
(いい子だったからなぁ……)
お手玉をやめて、莉子の魂を掌に乗せる。
少し濁ってしまったけれど、白濁した球体はムーンストーンのようで、それはそれで美しい。
愛媛はそれを、空へ高く掲げた。
愛媛の掌からフワリと浮いた莉子の魂は、迷いなく、上へ上へと登っていった。
(莉子、次は、幸せになりな。あんたの誕生を待ってる新しい両親のところに、きっとたどり着くんだよ……)
愛媛は残り二つの魂を握りしめ、親友の魂が天に還るのをいつまでも見つめていた。
【了】
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