0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「生きてるよ!」孝は、それを冗談だと認識できたので、嫌な気はしなかった。「民子は、こんな昼間から、何してるの」
「テストが終わったのよ」民子は、髪をかきあげ、この上ないドヤ顔だ。
「この前漢字テストで100てんとったんだ!」そんな民子の自尊心さえ、笑顔で打ち砕いてしまうから子供というものは怖い。しかもそれで凄い笑顔なものだから、言い返そうにも返せない。
「すごいね…」
「どうしたの、お腹痛いの」
「そうじゃ…ないけど」「ふーん」
「私も行っていい?文さん、長らく会ってないし」
「いいよー」
たかしに なかまが くわわった!
「ちょっと聞いてよー、少年」
「何。集中して歩いてるんだけど」
「なんて無慈悲な!」しかし構わず民子が語りだす。「クラスに、カップルがいたの」
「かっぷるって、男の子と女の子のペアのこと?」
「だいたい合ってる。で、その、男の子の方が遠くの学校に転校しちゃうらしいの」
「転校…?」「ああ、学校を変えること」「ふーん」
「で、その女の子のほうが、私の友達なんだけど」「民子、友達いるんだ」「いるわ」
「その女の子がね、ここ一週間いっつも私に言ってくるの。『悲しい。私、もうだめかもしれない』って」
「?民子だったら、悲しくないの?」
最初のコメントを投稿しよう!