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「そりゃ、悲しいけど…そんなに、友達にまでだらだらと垂れ流すのもどうかな、って思って。ほら、例えば、少年の友達のおもちゃが、壊れたとするでしょ」「うん」
「その友達がずっと、『おもちゃ壊れたから悲しい。もう何してても楽しくない』って少年に言ってきたら、どう思う?」
「うーん、『知らんわ!』って僕ならいいそう」
「あはは。うん。そんな感じ」
孝は内心「何が言いたいんだ」」と思っていたが、年の割に彼は大人だったため、黙っていた。
「少年、駅見えたよ」
「迎えに来てくれて、ありがとねえ、たかちゃん」
「いいえ、どういたしまして!」文と孝は微笑み合う。
「でもねえ、たかちゃん。知らない人についていっちゃいけないよ」そう言って文は民子を指差す。
「だーれが知らない人っすか。え、もしかしてボケが始まったのと違います」民子は、自分の頭をこんこん、と人差し指で叩く。
文は一瞬むっとしたが、すぐに涼しい顔に戻り「あーら、民ちゃんかい。ちょっと太ったんじゃない?気づかなかったわ」と言い返す。
民子は「カッチーン」と声に出し、「少年、私は太ってないわよね」と弁護を求める。
「いや、民子は太ったよー」
「ああっ」そう言って、膝から崩れ落ちる。
「勝負あったようだねえ」文は誇らしげだ。「さ、いこっか、たかちゃん」
「うん!」
「知らない人はついてくるんじゃないよ」そう言って、文は手首を降る。
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