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「悲しいかな、私も道が帰りが一緒なんです」「そうだよ。民子は隣の家なんだ」
思いがけないラッキーパンチに民子はしたり顔だ。対して文は…、言うまでもない。
「ねえねえ、聞いておばあちゃん。この前、漢字テストで…」
まだ傾きかけの太陽は彼らを明るく照らしていた。
「…それでね、だいくんがね、ぼーんって」「あら、元気な子ねえ」
そこで民子がふと立ち止まる。「ねえ、少年。ここ」
孝も立ち止まる。「え、ここって」「タバコ屋だったよね…」
つい先日、というか行きの道ではタバコ屋だったはずの場所がなぜか、空き地になっていた。
「どうしたんだい、たかちゃん」そうやって文はその空き地を認識すると、大きく驚いた。「ここ…」
「なんで?行きには、もう無かったっけ」「僕、覚えてなーい」
民子は、周りの建物と見比べるが、ここだけが異常だ。周りに人がいない。不思議な雰囲気がする。
「待って、ここ、ワタシ来たことがある」文は何かを確信しているようだ。
「昔遊んでたところにソックリ」
そう言って、文はその、空き地、に足を踏み入れた。
「そうそう、ここに土管があって」
「ちょ、文さん。危ないって」
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