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雪は抗議するものの、多数決では仕方ない。彼らは左の扉を開け、次に歩み進んだ。
入った先は、また同じ構造の短い通路で、先に部屋が見える。
ただ、通路を塞ぐように、魔傀儡が剣を構えていた。
無貌の人形兵士が、ゆっくりと勇者一行へ近づく。
「友好的には見えないな。お前らは部屋に戻れ!」
鞘を握り、蒼一は雪たちを庇うように立って、人形を待ち受けた。
その隙に、今しがた出たばかりの扉を雪が押し開けようとするが、戸はピクリとも動かない。
「開きません!」
「先に行きたきゃ倒せってことか」
人形の得物は両刃のロングソード。接近戦で来るなら、蒼一にも分がある。
「粘着、粘着っ!」
彼は敵の足を固め、肩や肘にも白い粘着物を放ち、その自由を奪った。
「鞘突き!」
高速で突き出された鞘先が、謎の金属製の胴の中心にぶち当たる。
ガンッという大きな衝突音と共に、人形は腰を頂点にして二つ折になった。人間では有り得ない、背中側に、だ。
「なっ!?」
身体を逆に折り曲げたまま、魔傀儡は上半身を捻って固着した腕ごと剣を振り回す。
予想外の方向からの剣撃は、蒼一の右手先を掠め、鮮血が飛び散った。
「ソウイチッ!」
「大丈夫、かすり傷だ」
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