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バックステップで距離を取り、彼は傷口に毒薬を掛ける。
「毒反転……やりづらい相手だな」
なまじ人の形をしているため、却って攻撃の方向が読みにくい。
粘着を重ね掛けして安全を確保すると、蒼一は鞘をボウガンに持ち替える。
「正攻法は、こっちか」
彼はボウガンに矢をセットし、傀儡の肩を狙って連射した。
思った以上に頑丈なこの機械の兵士も、魔力で強化された矢を何本もは受け切れない。
右肩に三本目が当たった瞬間、青い魔光を発しながら、その関節が砕けた。
「おらっ、追撃だ」
ボウガンの銃座が、敵に打ち据えられる。
「重撃! 墜撃っ!」
左肩、右膝。多少の反撃をものともせず、蒼一は関節ばかりを狙い続けた。
「連環撃!」
接合部を次々に強打された傀儡は、破片を撒いて機能を停止する。
崩れ落ちるその姿は、正に糸が切れた操り人形のようだった。
「イ人連中より強いな、こいつ」
回復歩行で足踏みしつつ、彼は傀儡を見下ろす。
短時間で倒せたのは、蒼一が戦闘に慣れ、スキルを使い熟せるようになって来たからだ。
この世界に来たばかりの彼なら、逃げるしかない相手だった。
人形の残骸の横を抜け、三人は奥の部屋へ向かう。
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