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「魔法陣、ねえ」
「転移するやつみたいです」
部屋には扉も壁画も見当たらず、床に魔法陣だけが彫り込まれている。
紋様の中央には、細身の人型のシルエット。
「飛んだ先がゴールか? 人形を運んでこよう」
メイリは何か言いたそうに魔法陣をチラチラと見ているが、先の魔傀儡を運ぶなら彼女の力も要る。人形の身体は重く、蒼一だけで運ぶのは困難だ。
彼が首、雪とメイリが両腕を抱え、ズルズルと通路を引きずった。
ちぎれそうな関節から光が漏れ、細かな部品が落ちる。
何とか陣の上に人形を投げ出し、蒼一は額の汗を手で拭った。
程なくして、魔法陣の紋様に力が流れ、発動光が点る。
「よし、行こう」
勇者から順番に、光る陣の上に立つ。
転移は瞬きする間も無く行われ、急に明るくなった周囲に彼は目を細める。
「ここは……?」
突然現れた勇者へ、盛大な歓声が湧き起こった。
「ケンマッ、ケンマッ、ケンマァァーッ!」
狂乱の生首踊りが、祠を囲んでヒートアップする。
「おー、すごく楽しそう」
「ここまで帰るのかよ! イモジンとイノジンなんて誤差の範疇だろ」
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