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直立する黒い傀儡の正面へ蒼一は移動して、人形と目線を合わせるためにしゃがんだ。
「君、喋るの?」
「ワタシ、シャベル」
「俺、勇者、分かる?」
「アナタ、ユウシャ」
雪に顔を向け、彼は感心したように報告する。
「こいつ優秀だわ。これが宝具かな」
「そうです、ワタシが宝具デス。よろしくお願いシマス」
「ペラペラ喋れるんじゃねーか!」
第三勇者が地下遺跡に残したのは、黒い魔傀儡であった。
宝具が喋るなら、話は早い。
蒼一たちは、しばらくこの傀儡を質問攻めにした。
◇
「お前は誰に作られたんだ?」
「二代目の女神様デス」
女神の巻物を広げ、雪がその内容を確認する。
「二代目……機巧の女神がそうですかね。機械いじりが得意って意味でしたか」
「得意なんてレベルじゃねえけどな。しかし、行儀悪いぞ、寝っ転がるなよ」
「床がライトなんで、こうしないと読めないんです」
彼女は仰向けに寝て、歴代女神の記録を読んでいた。
勇者の書同様、巻物の記述も曖昧だ。
機巧の女神が三代目か二代目かは、この黒傀儡のおかげでやっと判明した。
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