第三章 王国の人々

52/127
前へ
/677ページ
次へ
「そうデス。“魔力遮断”に“絶対防御”、勇者様の能力でワタシを御活用クダサイ」  ――ああ、いや、そういうスキルは残ってないと思う。盾でしばくのは有ったはず。  盾のままロウを持ち、三人は転移の魔法陣を覗きこんだ。  中央には起動物のマークとして、単なる四角形が描かれている。 「盾だな。今回は、俺が発動担当みたいだ」  蒼一が最初に陣に乗り、光に包まれるのを見て、雪たちも後を追った。  本日二回目の生首の狂騒の中、彼らは地上に帰還する。 「ロウ、盾でも喋れるか?」 「ハイ」 「凄いだろ、五百年後は。これが勇者の守った世界だ」 「魔物の群れかと思いマシタ……」  ハルサキムの街路には、夕陽が人々の長い影を作っていた。  勇者とその仲間は、ギルドへの報告のために墓地へ向かう。  五百年前には無かった新しいヘアスタイルの流行にも、ロウは驚いたようだった。
/677ページ

最初のコメントを投稿しよう!

353人が本棚に入れています
本棚に追加