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034. 魔術師の受難
墓地内に居たヤースは、外から現れた蒼一たちに、慌てて走り寄った。
「勇者様、いつの間に外へ?」
「この手のやつは、最後に祠へ戻されるんだ」
ギルド職員は十人以上が作業をしているが、フードで頭を隠している者もいる。
それに対し、施設長は堂々とその禿頭を晒していた。
「立派なもんだ。スッキリしたな」
勇者が何の話をしているかは、その視線で分かる。
「抵抗はありましたが……話を伺い、その理由に感銘を受けたのです。若き女性たちのためなら、頭髪など!」
「それ、あっちで睨んでる奴にも言い聞かせといてくれ。って、あれネルハイムか」
「彼は婚約者の家に挨拶に行く直前でしたので……」
「それを言ってくれりゃ、モヒカンで許したのに」
ヤースによると、街が保管する古文書に、いくらか地下遺跡についての記述があったらしい。
さすがのギルドの調査力でも、一朝一夕でそれ以上はっきりとした成果は出ない。
更なる報告は後日に期待して、勇者たちは宿へ帰った。
夜は蒼一の部屋で人型に戻ったロウの話を聞き、五百年近い昔に思いを馳せる。
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