第三章 王国の人々

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 千本突きスキルを発動させたかのように、少女はロウの頭部をゴツンゴツンと突きまくった。  さすが魔装の盾、メイリの槍くらいではビクともしないが、大変迷惑そうだ。 「ホントに、ヤメテ……揺れるカラ。頭が、ものスゴク」 「メイリ、こいつは大丈夫だ。地顔だ、これ」 「ウソよっ!」  少女の息が上がるまで待って、蒼一と雪が事情を説明する。  次は私が描きます、そのメイリの宣言に、ロウは人形らしからぬ深い溜め息をついた。 ◇  悪霊ファズマが離れると、カイルは正気を取り戻し、一先ず拘束を解かれる。  勇者が娘を救出し、自分も助けられたと教えられ、彼は床に頭を擦りつけんばかりに感謝した。  またこの家に悪霊が来る心配は有っても、蒼一たちが蓄魔器屋に留まるわけにはいかない。  逃げた魔物を追うため、彼らは一旦、ギルドへ向かった。 「悪霊、本当にいたんですねえ」 「五百年前は、この地方に存在しませんデシタ」  ロウはまた盾となって、勇者が運んでいる。  常に手に持つのは面倒なので、革紐で背中に吊せるようにホルダーを作って貰おうと、蒼一は考えていた。 「悪霊も、魔法陣から出たのかもな。街に出た魔物がいないのが、不思議だったんだ」     
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