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「もちろんです! ネルハイムのあんな姿は、心が痛みますわ、ふふ」
今、笑ったよね? そう問いかけて、蒼一は言葉を呑み込む。
作戦自体は、上々の滑り出しだ。苦手と感じたローゼも、案外、自分とウマが合いそうな気がした。
この後、ネルハイムを尾行するのに、この婚約者も参加したいと言う。
職員の衣装と着替えてもらい、蒼一たちと合わせ、四人で魔術師の後を追った。
婚約を解消され、クビを言い渡された彼の足取りは重く、周囲に気を配る余裕も無い。
尾行の難易度は、これ以上ないくらい簡単なものだった。
◇
ギルドを出たネルハイムは、下を向いて街路を北に歩いて行く。
蒼一とローゼ、雪とメイリの二班に分かれ、仕掛人たちは少し離れて彼を追跡した。
「あいつは、家に帰ろうとしているのか?」
「違いますね。こっちはネルハイムの好きな公園のある方向です」
ナムス家の所在は街の中央西、北には小さな池のある公園があるらしい。
「公園ねえ。落ち込んでるのを鳩にアピールか」
この世界の公園に鳩はいない。
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