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「さっきから聞いてるとさ。勇者も女神も、いっぱいいたってことなの?」
「さようです。竜の勇者様と永遠の女神様は、何度もこの国を助けてくださってます。一人目の勇者様は、悪辣な魔物にやられ、命を落とされましたが……」
ライルが目を伏せる。
「物騒だな、おい。二人目は?」
「はい、お二人目は魔王の手にかかり、目的半ばで――」
「ははーん。その魔王を倒せと言うわけだな?」
老人は頭を上げ、明るく顔を輝かせた。
「いえいえ! 魔王は三人目の勇者様が、見事討ち果たされたのです。伝説のきほ……痛っ、痛いですぞ!」
ライルの髭を引っ張り、蒼一は顔を近づける。
「おい、俺は何人目だ?」
「じゅ、十八番目でごさいます!」
「なんだそれは」
ドサッと椅子に座り直し、天を仰いだ不運な日本人一号に替わり、二号が口を開いた。
「……女神も十八人目?」
「そうでございます。初代は時の女神と呼ばれ、時間を巻き戻す異能もお持ちでした」
「一応聞きます。他にどんな女神がいたの?」
「三代目は氷の女神。絶対零度とかいう力をお持ちでしたな。七代目の癒しの女神も素晴らしかった。どんな傷も瞬く間に……」
彼女の眉間に、深い皺が寄る。
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