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帰るにしろ、何にしろ、何かヒントが欲しい。大賢者は、色々と知っているだろう。
考え込み出した蒼一に、ライルが王国の地図を見せる。
「王都の境を出てナグサの森を抜けると、カナン山が見えます。その山頂近くに、賢者様はおられるでしょう」
「遠いな。ちゃんと引っ越すように言っとけよ」
「この地図も差し上げます。他に御必要な物は?」
勇者の不平をスルーし、ライルは他の要望を聞こうと構える。
蒼一には、気になることが残っていた。
「あんたらの国でも、もちろん食事はする訳だよな?」
「当然でごさいますな」
「何を使う?」
意味を理解しそこね、神官長が首を傾げる。
「あるだろ、スプーンとか、フォークとか」
「おお、食事方法でごさいますか。我が国では、二股フォークと、四股フォークというのがございまして……」
「何でもいいから、それを持って来い。麺が伸びたじゃねーか、馬鹿野郎……」
机の即席坦々麺は、どう考えても五分以上経っている。
「フォークは二つお願いします。半分もらえれば協力しますから」
雪もこの坦々麺を、最初から狙っていた。
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