1.出会い

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短い昼食休憩を終えて部屋に戻ると、一人の子どもがすでに目を覚まして、パートの保育士に抱かれていた。 「健太くん、起きちゃったんだねー」 まだ、眠そうにしていた健太くんを受け取り 子守唄を歌う。 まだ、生後4か月だけど、担任の先生を覚えていて、 私が抱くと安心したように再び眠りついた。 ベッドに下ろして顔をながめる。 可愛いなぁって、柔らかな頬をツンって指先で触れ、 保護者へのおたよりを書く。 私は、保育士になり、すでに8年目。 0歳児の担任は3度目となった。 12名の子ども達と三人の保育士に看護師。 赤ちゃんと過ごすのは、可愛いけど、泣きやまない赤ちゃん、ミルクを飲まない赤ちゃん、赤ちゃんを保育するのは、体力がないと出来ない。小さな命を預かる仕事だから、子どもから目を離すことが出来ない緊張感もあり、ある意味、肉体労働だと思っていた。
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