一緒にいた子供

職場で働く加藤さん（仮名）という方から聞いた話。

二十年程前の夏、加藤さんは兄夫婦の誘いを受けて山へ遊びに行った。

当時加藤さんは独身で、兄夫婦には五歳の息子が一人おり、その子は目的地へ到着するとすぐに目の前にあった川で遊び始めたという。

少し離れた場所では若者らしきグループがいて、彼らもまた水浴びを楽しんでいる様子だった。

――結構人が来る場所なんんだな。

加藤さんはそんなことを思いながら、兄夫婦と共にバーベキューの用意を手伝っていた。

そうしてニ十分程が過ぎた頃、ふと川の方を窺うといつの間にかもう一人、甥っ子と同じくらいの年齢と思しき男の子がいて、二人で一緒に遊んでいるのに気がついた。

――ああ、あっちのグループにも子供を連れてる人がいるのか。

遊び相手がいてくれるのはありがたいし、向こうのグループも特に咎めようとしている気配はない。