十二番目の志士1

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まあ、ただの浪人者だよ気楽にしてくれと声をかけたのです、それでは私も一指しといい、立ち上がり扇子をもって、人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり、 と敦盛を舞ったのです、 その素晴らしい舞にみんなうっとりし、舞終ると手を叩いて驚いています、ボタンが酌をして惚れ惚れする旦那様ですねと言うので、お節がふくれています、さくらがボタン、 姉さん、お節様が気を悪くなさいますよとたしなめると、これはすみません、あんまりにも見事な舞いにビックリしたのですよと言ったのです、白波屋が武家奉公に出ている、 のに悋気はいけませんというと、 しかたありません、節は新之助様にほの字なのですと盃を飲み干したのです、新之助がお節は大好きだよというと、ボタンがにくらしいと腕をつねるので、イテ~というと、 みんなが大笑いしたのです、白波屋、女子は怖いものだなあというと、なんといっても山の神といいますからと言ったのです、
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