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第1章 普段の日常
ちりりりり、ちりりりり
部屋中に目覚まし時計の音が鳴り響いている。
ちりりりり、ちりりり…
布団から片手を伸ばし、頭は布団に被ったまま、手探りで、目覚まし時計を探し、ふらふらとさせると手に触れる。
そして、「バン!」と叩く。
伸ばした手も再び引っ込め、布団から出ることに拒否し続ける。
「…」
「…うーん…」
寝返りを打ち、壁側に顔も身体も向ける。
うーん…めんどい…出たくない…
バッと、ドアが勢いよく開く。
そこに、さらに大きな…
「起きろ!遅刻するわよ!」
「…」
「はーぁ…」と溜息を吐く母。
僕の身体を揺らす。
「起きろ!起きろ!遅刻するって!」
身体を激しく揺らしながら、起こす。
「…」
それでも起きない僕に、遂に、被っていた布団が身体から離れていく。
「…うーん…」
さすがに、僕は、横になっていた姿から座る格好になり、目を擦る。
少しぼやけた目に、目覚まし時計が差していた針を見て、
「おっ!」
目覚める。
「ご飯は?」
「そんな時間ないから」
制服に着替え、支度を整え、飛び出すように、玄関で靴を履き始めていると、「行ってらっしゃい」と言う声。
その声が届く前に僕が開けたドアは閉まっていた。
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