「早く俺を思い出せよ」

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煌びやかな多数のショップを横目に足を進めれば、ブランドショップが並ぶ通りで一際高く、ピンク色に輝く建物が見えた。その風貌はまるでお城みたいだ。どこにも負けないその存在感に建物を見ただけでわくわくさせられる。 SAKURAの商品は持つだけで自分をお姫様にしてくれるような特別な力がある。 25歳にもなってなにを言ってるんだって感じだけど、このお店に来る女性なら誰しも思っていることだろう。 自分を飾ってくれる素敵な小物に化粧品。いつもよりちょっぴり背伸びした自分。身につけるだけで自信が湧く、不思議な力を持つブランド。 「なんか今日、人多くない?」 「うん、たしかに」 自動ドアの入り口を開ければ、いつも以上に多い女性のお客さんの数に圧倒された。 いつも多いのだけれど、今日はいつもの3倍くらい人がいる。商品の前は3列ほどの列ができており、とてもゆっくり商品を選べる状態ではなかった。 「なんでこんなに大盛況なの?なんかやってるの!?」 「んー、あ、あれじゃない?」 店に入り人の群れに流されながら香澄が目当てにしていたグロスのコーナーを目指す。その途中、一際人集りが出来ている中央を指さしながら香澄を呼んだ。
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