「早く俺を思い出せよ」

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「あー、新作の予約開始か」 「だね」 みんなの集まる先にはキラキラと光る大きなポスター。 その綺麗なポスターに思わず目がいった。桜をあしらった薄ピンク色の瓶に小さな白い花が巻きついた新商品の写真。下には大きく書かれた可愛らしいその見た目にぴったりな名前。 「え、新商品の香水可愛い!『あなたに私の全てを捧げます』さすがSAKURAだね、名前もオシャレ!」 どうやら香澄も私と同じくポスターの文字を読んでいたらしい。興奮気味に肩を叩かれ「そうだね」とひと言返して、再びポスターに書かれた文字を追った。 本日予約開始『あなたに私の全てを捧げます』shepherd’s purse(シェパーズパース) & cherry blossom(チェリーブロッサム)fragrance(フレグランス)大人で優美な女性を飾る花の蜜の香りをお楽しみ下さい。1月17日発売。 約1ヶ月後の、奇遇にも私の誕生日の日に発売するらしい。 ふわりと爽やかだけれど甘い香りがした。きっとポスターの下にサンプルが置いてあるのだろう。人集りはそのせいだ。自分の誕生日プレゼントにでもしようかなと考えたけれどあの人集りに入っていく勇気は出なかった。 「え、え、え!ちょ、ちょっと、なずな!あの人!」 「え?」 香水に気を取られていた私を、興奮気味の香澄がさきほどよりもさらに強い力で肩を叩いてきた。香澄さん、痛いのですが……。 香澄の指す方へ視線を向ければ、
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