「俺への当てつけ?」

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「え、店長、どういう意味ですか?」 「意味もなにも、だってこの香水のshepherd’s purse《シェパーズパース》って、」 「シェパーズパース……?」 「“なずな”の花のことだろ」 え……。 「そちらの商品、お気に召していただけましたか?」 と、突然真後ろから聞こえてきた低めの声音にびくりと肩が震えた。丁寧な口調で問いかけるその言葉は店員さんのもので。 でも、SAKURAは店頭に立つ店員は必ず女性と決まっている。女性を喜ばせるものを販売するから同じ気持ちで商品を見て、提案が出来、またお客さんも気軽に話をかけられるようにそうしているらしい。 だから、いま聞こえた男性の声音はお客さんでなければおかしい。それか、たまたまお店に来ていた上の役職の男性か。 聞き覚えのある声音にゆっくりと振り返れば、 口元だけにこりと微笑んで、目元は全く笑っていないグレーのスーツに身を包んだSAKURAの社長ーー佐倉さんが立っていた。
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