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“なずな、俺のこと忘れたの?”
“初恋の相手、間違えるわけないだろ”
“なずなの為に作った商品だ”
“1月17日だろう。だからこの香水の発売日もその日にした”
“なずなの花言葉って知ってる?”
“あなたに私の全てを捧げます”
“昔となにも変わってない。そういうところが昔から好きだったのかもな”
“忘れてしまった、なずなが、悪い”
“なんでもない。もっと早く来なかった、俺が悪いんだ”
佐倉さんに言われた言葉が降ってきて、なにかの合図みたいに私の幼い頃の記憶の扉を開ける。
“おおきくなったら、さくらはなずなちゃんをむかえにくるね!”
さくらちゃんが、佐倉さんだとしたら、私は間違いなく小学1年生のときに佐倉さんに出会っている。
小学1年生のとき、突然親に「新しいお友達よ」と言われて紹介されたのがさくらちゃんだった。
『なずな、お隣に引っ越してきたさくらちゃんよ。仲良くしてもらってね』
『さくらちゃん?』
『そーよ、同じ学校に通う5年生よ。なずなの先輩って、まだ難しいか』
そのときの私はお母さんの後ろに隠れながら紹介された“さくらちゃん”という子を恐る恐る見つめた。
幼いころの、自分より年上という存在はとんでもなく怖かった記憶がある。
けれどそんな恐怖は束の間で“お人形さんみたいでとっても可愛い女の子”それがさくらちゃんの印象だった。
小学生なんて、親が仲良しなら子供も大体は仲良しになるわけで。よく、さくらちゃんが家に遊びにきたり、逆にさくらちゃんの家に遊びに行ったりしていた。
さくらちゃんの家にはいつも綺麗なお花が飾ってあって、私は遊びに行くたびに今日は何色のお花だろうと楽しみにしていたのを覚えている。
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