「とりあえず俺に愛されとけよ」

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「18年」 「え、」 「18年、待った」 「……」 「というか、18年かかった」 それだけ言うと、なにも言わずに黙りなまま足を進める。 私から聞いたくせに思っていた答えと違うものを返され、なんて返したらいいのか分からず、私も言葉を失った。 けれど、熱を共有する絡んだ指先はそのまま。 しばらく歩いてたどり着いた場所は、イルミネーションの見えるビルだった。 都内でこんな場所は珍しい。私たち以外の人はほんの数名だけ。 黙りだった佐倉さんは「穴場だろ」と言って一面ガラス張りの前にあるソファに私を案内する。 なんてオシャレな空間なんだろう。広いエントランス。窓に向かって等間隔に並べられたソファ。そこに座ると、目の前にはイルミネーションの施されたオシャレな庭が広がる。 「とても綺麗です」 「こういうの好きだと思って。昔から可愛いものとか、綺麗なもの好きだったろ」 「……はい」 「ちなみにSAKURAの建物は?」 「え……?」 「好きじゃない?」 「好きです、キラキラでお城みたいで」 「よかった。なずなに気に入ってもらえるよう、何度も案を出して完成させた甲斐があった」 いやいや、よくないよ……!この人、本気……? ふたりがけのソファに腰を下ろしながら佐倉さんがそんなことを言うから、思わず顔が熱くなる。 そんな当たり前みたいに、私の好みを把握していないでほしい。 しかも、この人なんて言った?建物を私に気に入ってもらえるように? 私の大好きなあのSAKURAのショップが、え?まるで私のためみたいな、そんな、いったいなにがどうなっているのか、情報量が多過ぎてわけが分からない。
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