「とりあえず俺に愛されとけよ」

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「絶対、俺のこと好きにさせてみせるから」 綺麗な顔が下から私を見つめる。 なんてパワーワード。体が熱い。こんなことを言われて照れない女子なんて存在するんだろうか? いい女なら上手に受け取れるんだろうな。 けれど、私はいい女とは対極にいる人間だ。とにかくパニック。 「いや、あの、でも、佐倉さんだって、」 「……」 「いまの私のことなにも知らないのに、そんなこと言って、今後後悔するかも」 「でも、後悔しないかもしれない。俺からしたら、はじまってもないのに決めつけるなって感じ」 得意げに笑った佐倉さんはするりと私の指先に自分の指先を重ねた。 今度は温かいそれに安心する。 「俺のこと、好きじゃなくてもいい。まだ好きな奴がいてもいい」 「……」 「俺はなずなになずなの花をプレゼントした。 なずなの花言葉は “あなたに私の全てを捧げます” これから俺の全てをかけて、なずなを愛してみせるから、証明してみせるから」 きゅっと、温かい体温が私の指先を包み込む。この体温を私は知ってしまった。触れると落ち着くことを私はあの日、知ってしまった。 「佐倉さんは、ずるいです……」 「ずるくて結構」 佐倉さんの体温は私を甘やかして、ダメにする。
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