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だったからな、あれは焼いてしまわないと。変な虫もいたし。》
私は虫嫌いだ。特に、毛虫や蜘蛛が大嫌いだ。顔に蜘蛛の巣なんかくっついたら、発狂したように払いのけて、大量の水で顔を洗わないと気がすまない。
《それと……あの少女だな。あれは大昔分かれた王家の片割れの王女だ。もう片割れの方の王位継承たる私と結婚すれば、この空中城塞の正統な王位復活となる。しかし……》
私は少女を見た。
《……11いや、12歳か?……ふむ。嫁にするにはまだ早いか。あと5年、6年待てば、年頃の女になるだろう》
幼さが残るが、整った顔立ち。山育ちで健康に育った肉体。華奢だが胸の肉付きが服を通してもわかる。走った時に見えた尻と太腿のライン。
《まだまだ……か》
そう思いつつも、私は下腹部が熱くたぎるのを感じていた。
少年と少女が顔を寄せ合い、小声で話す姿に、少し嫉妬めいた感情が湧き、私は時計を見て、少し早めに言った。
「3分だ。答えを聞こう」
少年と少女はしっかりと私の方を向き、手を繋いでいた。
数瞬後、彼らの口から発せられたのは、
「滅びよ!」
少年と少女の繋いだ手に握られていた石から強力な光が漏れだした。
その光を、光を、私は直視してしまった。
「ぐわああああ……目が、目があああ」
了
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