2.現れたのは

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「ちょ、待てい! 思いっきりメタいわ! うん。ちょっと待って。とりあえず落ち着こう? ね?」  再び、ぽんっ。と煙が立つと、さっきまでの”小さなキツネ巫女”の姿に戻っていた。  ページ数の問題もあるし、次の執筆の準備があったりするのだが、ここはもう少し居てあげることにしようか。  ――いやだからメタいっての! 「誰に向かって話してるんだか。別に俺は冷静なつもりだけど……。ってか、そもそもあなたは一体。」 「後で覚えとれよ……? あー、そうじゃ。まだ名前を名乗ってなかったかの。わしの名前なんて別にどうでも良いのだが……。そうじゃな、稲荷神社の”イナリ”とでもしておこうかのう。さて。話を戻そうか。お(おんし)、此奴の墓は別に有るというのに、なにゆえにわざわざこんな所まで通うんじゃ?」 「んー、何でですかね。”漠然としか、もう一つのお墓の場所を把握していない”というのもあるけど……、現場に近い、あいつが死んだ場所に近いから……かなぁ」 「確か、此奴の塔婆が並ぶようになったのは5年前ほど前じゃったか。何かそういった事はあったっけかのう……? あー、此処の山肌が崩れた時か?」 「そうソレです。何のためにココに来てたのかは知らないけど、どうやらソレに、思いっきり巻き込まれたようで……。」  本当はもっと別な何かがあって、その後に山が崩れたらしい。  もし山が崩れず、そのままの彼女の遺体が見つかれば、もっと詳しく本当の事が分かったのかもしれない。  このイナリという子には、もう少し色々と話しても良かったのかもしれないけれど、その辺の事を咄嗟に口にすることは、今の俺にはまだ出来なかった。 「おーい、どうしたんじゃ? ぼーっとしよって。」 「んー……、あ、いや何でも。」 「あの子には、私もだいぶ助けられてのう。あの日、まだ霊体になってすぐだと言うのに、山が崩れたのを知らせに来てくれてな。あのままお社(やしろ)まで持っていかれちまったら、わしも行くトコがなくなるとこだったからのう」 「霊体になってすぐ……? その時のこと、なんか知ってるのか?」 「知ってるも何も、一応はわしも、ここらを護る神様だし、知ってないとまずいこともあるからの?」 「じゃあ、アイツがどんな風に死んでいったのか、何か知ってたり、アイツから聞いてたりしてないか?」
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