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再会の喜びに浮かれまくり、入院させられる事態になったのは二週間前。
その後合鍵を貰ってそのまま隼斗の部屋に居ついている訳だが、心は(たぶん)開いてくれても体は開いて貰えない。
隼斗は今、仕事と最低限の睡眠以外ほぼ全ての空き時間を料理に注ぎ込んでいる。俺には23時就寝を義務付け、自分は翌日の仕込みに余念がない。午前診で終わる日は食材の調達、そして漢方の調剤薬局で薦められたと言う薬膳料理のレシピ本をシナシナになるほど読み込んでいる。その情熱を少しエロス方面へ傾けては貰えないものだろうか。
でも、俺が転がり込んだ翌々日にはダイニングセットがやって来た。るきのお散歩フィールドだったリビングダイニングに俺の居場所を作ってくれた。
立派なキッチンの隅にひとつきりの椅子を置き、作るのも食べるのもそこで事足りていたと言う隼斗が、今は俺の為に料理をして、一緒に食卓に着いてくれる。それを幸せと呼ばずして何と言うのか。
俺は果報者だ。
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